2006年03月25日

ジャズスタンダード曲の著作権について

ジャズやってる人でWebサイトに自分の演奏をアップしている人も多いと思いますが、自分のオリジナル曲でない限り、作曲者、(ボーカル入りの場合には)作詞者の許可が必要になります。具体的には、JASRACに申請してダウンロード数に応じて金を払わなければなりません。

しかし、著作権には保護期間というのがあります。日本の場合は著作者の死後50年(正確には50年たった年の年末)で著作権は切れます。そうなると、いわゆるパブリックドメインの状態になり、誰でも自由に使うことができるようになります。しかし、作詞・作曲者が海外の人の場合には、戦時加算という制度がありまして、第二次世界大戦の敗戦国である日本はペナルティとして約10年期間を延長することが必要です。要するに著者の死後約60年でパブリックドメインになるということです。

ジャズの世界でいうとジョージ・ガーシュインが1937年死去なので、戦時加算を考慮しても楽勝で著作権切れです。したがって、以下のような楽曲の演奏をWebにアップしてもJASRACに金を払う必要はありません。
But Not For Me
Embraceable You
Fascinating Rhythm
A Foggy Day
The Man I Love
Nice Work If You Can Get It
Oh, Lady Be Good
Our Love Is Here To Stay
Somebody Loves Me
Someone to Watch Over Me
Summer Time
They Can't Take It Away From Me
'S Wonderful
とまあかなりの名曲がもうパブリックドメインになっているわけです。
※ただし、アメリカの場合には著作権は作者の死後70年間存続するので、Webにアップする場合には、来年までは米国の人にはアクセスさせないような仕組みにしておく必要があります。

しかし、これらの曲のほとんどを作詞したジョージの兄のアイラ・ガーシュインは大変長生きで1983年に亡くなってますので、歌詞の著作権は当面切れません。したがって、ボーカル入りの場合は(スキャットでない限り)著作権料支払いが必要となります。

ここでお話ししているのはあくまでも自分でやった実演の話です。レコードやCDには別途著作隣接権というのがありましてレコーディングの時から50年間有効です。したがって、CDやレコードの音源をアップするのにはよほど古いものでない限り許諾が必要です。

では、他のジャズスタンダードの作曲家はどうでしょうか?まず、ジェローム カーンが1945年11月11日に亡くなっています。もう切れてるような気がしますが、ひょっとすると今年の末に切れるのかもしれません(今、JASRACに問い合わせ中ですが、どうせ返事は帰ってこないでしょう。)いずれにせよ、来年には"All The Things You Are"の著作権が切れるということになります。

コール・ポーターは1964年に亡くなってますので、しばらくは切れません。また、時間ができたら一覧表にまとめてどこかにアップする予定です。しかし、この作業って「ああ、この人はもっと早く死んでれば良かったのに」と確認する作業でもあるので、ちょっと罰当たりですね。

posted by kurikiyo at 09:21| Comment(7) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
初めまして。
ジャズシンガーのまほろば遊と申します。
ジャズの歌の著作権について調べていたらここにたどり着きました・・・参考になりましがもう少し詳しくお聞きしたいです。
だいたい歌詞入りの場合一曲についてどのくらいの著作権料が発生するのですか?
ライブハウス側がもともと著作権の契約をしていればシンガーは払う必要はないですよね?

ジャズの著作権の一覧表がすごく待ち遠しい〜遊でした。
ちなみに好きなのはコールポーターです。
Posted by at 2006年08月25日 12:25
遊さん、こんにちは。
通常、ライブハウスはJASRACに著作権料支払ってますので、シンガーは何もしなくて大丈夫ですよ。
あと、上にも書いてますが、曲と歌詞の著作権は別なので、ボーカルの場合は注意して下さい。
Posted by kurikiyo at 2006年08月26日 00:05
はじめまして。ヤギと申します。
著作権切れのスタンダード曲を調べていて、たどり着きました。
当該事項に関してはとても勉強になりましたし、
また、落ち着いていて、かつ豊富なコンテンツを楽しませて頂きました。

今回コメントさせて頂いたのは、このエントリーに関して、少々疑問に思ったことがありまして。
アイラ・ガーシュインは、ジョージの「嫁」ではなく、「兄」ですよね。
単なるタイポか、比喩表現かとも思ったのですが、一応念のため。
(実は私自身かつてそう勘違いしていたのです)

これからも覗かせて頂きますので、
お体に気を付けて、楽しいお話しを聞かせて下さいませ。

ps
私も他のJ-POPはあんまりな感じなんですが、スガシカオは良いですね。
それから、ここにも一人著作権の一覧表を楽しみにしている人間がおりますです(笑)。
Posted by ヤギ at 2006年12月21日 23:55
ありゃ、兄だったんですね。リアルで間違えてました。
著作権切れですが、Jerome Kernの作品が切れてるのはJASRACに確認済みです。
あと、Someday My Prince Will Comeの作曲者、Frank Churchillの作品も切れてますね。
モダンジャズでよく出てくる曲としては、ガーシュイン以外だとこんなもんじゃないですかねー。
Posted by kurikiyo at 2006年12月23日 19:57
酒場で作詞・作曲・編曲者へ金払っているやつなんかいないだろ。

JAZZというものを全く理解していない。JAZZ世界において馬鹿みたいな事いっているのは日本だけ。海外を見てみろ。

http://swinglike.ojaru.jp/
Posted by swinger at 2008年03月09日 23:58
はじめまして、香川県の片田舎で自家焙煎の喫茶店とジャズCD中心のレコード屋を一人で経営してます。
ジャズが好きで20年ぐらい前から年4〜5回不定期にライブやっておりましたらジャスラックから過去10年間の著作権使用料の請求が来まして
只今、裁判所にて調停中です。
私は、使用した使用料だけ支払いたいのですが
請求内訳の10年間33件よく調べると架空請求のオンパレードで困っています。
当店ホームページ「著作権と言う名の○○」に調停中の
内容をカキコしてます。

こちらのページは知識を得るのに大変役立ちました。リンクを貼らして頂けたらと思うのですが
よろしいでしょうか?
Posted by そうさく at 2010年10月31日 22:47
そうさく様
コメントありがとうございます。
もちろんリンクは自由にしていただいてかまいませんが、どちらかというとこの趣味ブログよりも本業のブログ(www.techvisor.jp)の方がよいんじゃないかと思います。
Posted by kurikiyo at 2010年11月02日 13:09
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